The Kicker

Footballを愛して、その世界に飛び込もうとしている若者です。海外サッカーを中心に思ったこと、記事を書いていきたいと思います。

リバプールの"核"。アンカーを務める主将ヘンダーソンの守備技術。

今シーズン、リパプールの活躍についてはサッカーファンはよく知っていることだろう。

PL最終節にまでもつれたCL出場権をかけるトップ4争いにも競り勝ち4位でフィニッシュ。

日本時間5月27日の早朝にはレアルマドリーとのCL決勝が待っている。

 

リバプールが語られる時はいつも前線の3人のマネ、フィルミーノ、サラーにスポットが当たる。しかしこのチームには、スリリングスリーと呼ばれる世界屈指の3トップを生かし、さらにチームを90分、主将としてバランスを取り支えている選手がいる。

 

その名はジョーダン・ヘンダーソン。足元はそれほど器用ではなく、足が速いわけでもない。そして絶対に当たり負けしないフィジカルを持ち合わせているわけでもない。入団当初から常にチームのレジェンドであるスティーブン・ジェラードと比較され、批判を浴びる場面も多々あった。しかし彼は、チームをまとめ、自国の代表、CL決勝に進むチームの主将まで登りつめた。

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彼の凄さは、彼が不在の時にチームに一番現れる。数字や印象に残りにくいがリバプールのサッカーにおいては"効果的"なプレーヤーである。ピッチ上では、常に前線とバックラインの距離を一定に保ち、淡々とボールを繋ぎ、幅を広げていく。守備の場面では、相手の攻撃の芽を詰み、2次攻撃、3次攻撃に繋げていく。そしてチームの流れが悪い時に喝を入れ、選手たちのモチベーションを上げることも出来る。サラーやマネの裏に鋭いラストパスを出し、時には自らゴール前へ飛び出していくことも可能である。

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前線のインパクトが強いだけに、彼の評価は未だそれほど高くはない。しかし、今のリバプールには必要不可欠な1人と思っている。

 

個人的な彼の今シーズンのベストパフォーマンスともいえる試合はCLリーグのベスト8、マンチェスターシティとの1stレグ、そしてアンフィールドで戦った準決勝のローマ戦だと思っている。

 

そのCLでのシティ戦で見せた、ある1つの守備では、思わず拍手を送ってしまうプレーがあった。

リバプールが攻め込んでいる状況でクロスが入り、それをシティの守備陣がクリア。自陣のバイタルエリア付近でボールを後ろ向きで拾ったダビド・シルバ。しかしFP10人が自陣に引いていたため、カウンターを仕掛けることも出来なかった。そのためにボールをキープし時間を作ること、もしくはサイドにセーフティにクリアする、もう1つは、後ろから来たプレスでファールをもらうという3つの選択肢がおそらく彼にはあったはず。リバプールはゲーゲンプレッシングで、まず最初の1人がボールホルダーにプレッシャーをかけゾーンを限定してボールを早い段階で奪うという戦術のため、シルバは早いプレスを想定してボールをあまり運ばずに、ボールを隠し、ファールをもらい自分たちのリズム、体系を整えようとした。

シルバの前にポジションを取っていたヘンダーソンは本来であればまずプレスをかけ、シルバが後ろ向きの状態の間にボールにアプローチすることが一般的なものと考えられるが、ヘンダーソンはあえてシルバに距離を置いて、プレッシャーにあまり行かなかった。そこでシルバは、来ないの?と思ったのか少し大きめなタッチで前を向くターンをした。その瞬間を狙っていたヘンダーソンは、シルバから離れたボールに果敢にアプローチし、ボールを奪いきってみせた。そして流れが切れることもなく、また2次攻撃を仕掛けることが出来た。

 

ヘンダーソンは、一瞬でピッチ上の状況を察知し効果的なプレーを選択することが出来る。

1vs1でボールを奪いから能力に長けている選手は世界を見ても、カンテやカゼミロなど素晴らしい選手がたくさんいる。

しかし相手にボールが入る以前のポジショニング、そして味方との距離や相手の状況を見て遅らすこと、奪いきること、今は1番何が効果的なのかを瞬時に判断出来る部分は世界でもトップクラスだと思っている。そのため、現在の彼の技術は過小評価されていると感じる。

シーズンに何度か怪我で離脱することや、調子の波がある部分は彼の課題ではあるが、今シーズンのパフォーマンスを見れば彼は、世界トップクラスのアンカーということは証明されている。そしてリバプールという攻守においてのトランジションが多いチームには彼以外のアンカーは今の時点ではおそらく仕事をこなすことは難しいと感じる。

 

そしてレアルマドリーとのCL決勝戦では、どのような集大成を見せてくれるのか。

イングランド代表としてのW杯でのプレーにも期待がかかる。